質の高い工事が、50年先の橋を支えます。
補強筋埋め込み方式PCM巻立て橋脚補強工法
橋脚の耐震補強には、一般的な工法である“鉄筋コンクリート巻立て工法”が主流です。
しかし、補強による橋脚躯体断面の増加が大きくなり、河積阻害率や建築限界等の構造寸法上の制限、重量増加に伴う基礎構造及び地盤への負担増等で、耐震補強を見送られることがありました。
そこで、補強筋埋め込み方式PCM巻立て橋脚補強工法(AT-P工法 ・ AT-PD工法)は、既設のコンクリート表面に溝切りを施し、補強鉄筋を埋設することによって、巻立て増厚を大幅に低減した工法で、先に述べた様に構造上の制約がある場合でも適用の範囲が広がります。

AT-P工法の概要
AT-P工法は、RC巻立て工法や従来PCM巻立て工法の補強部巻立て厚を極度に抑えた橋脚耐震補強工法です。
従来は、既設橋脚躯体周囲に設置していた補強軸方向鉄筋を、躯体に施した溝切り部に埋設し、空隙部にエポキシ樹脂を充填して定着させた後、既設橋脚躯体表面に帯鉄筋を配置し、ひび割れ抑制のためビニロン繊維を混入したポリマーセメントモルタルを巻立てる工法です。
AT-P工法の特徴
- 巻立て増厚がRC巻立て工法の約1/8、従来PCM巻立て工法の約1/2以下に抑えられます。
- 河川中の橋脚補強における河積阻害率がほ とんど増加しません。
- 材料単価の高いポリマーセメントモルタルの使 用が減ることで、大幅にコストを縮減できます
- 既設コンクリート内に直接補強鉄筋を埋設する ことにより、コンクリート断面を増加させること なく、確実に耐荷力向上を図ることができます。
- 補強による重量増加を大幅に抑えることにより 基礎構造及び地盤への負担を軽減できます。
AT-PD工法の概要
鉄筋埋設型PCM巻立て工法は、RC橋脚の段落し部のみの補強工法としても適用することができます。
段落し部補強必要範囲に切削溝を設け、補強鉄筋を埋設定着した後帯鉄筋を配置してポリマーセメント モルタルで巻立てる工法です。
AT-PD工法の特徴
- 補強鉄筋を直接既設コンクリート内に定着することにより、確実な補強効果が得られます。
- ポリマーセメントモルタルで巻立てるため、巻立て面の強度は強く、流木の衝突や流水による磨耗の影響を受ける河川中の補強に適しています。
- 巻立てによる増厚は30mm程度(帯鉄筋D16の場合)であり、断面増厚による構造的な影響はほとんど生じません。
- 従来から用いられている炭素繊維シート接着による補強工法との工費を比較すると、約20%※以上のコストダウンが得られます。(※CFRP2層と想定した場合)